出版人列伝
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#04

フリー編集者
宮城一春さん

時事出版と関わる中で、2013年から県の補助事業「沖縄文化芸術を支える環境形成事業」にも携わってきた。「書評ライター養成講座」を開設し3年間講師を務め、ホームページ「The沖縄本.com」では、様々な形式で沖縄本の配信を手がけてきた。同事業の中で、2015年から東アジア出版人会議と関わるようになり、翌16年に沖縄にて初開催された東アジア出版人会議にも尽力。「お陰様で、いろんな方にお会いすることができました。東京の大手出版社の編集者他、東アジアの著名な出版人。これまで本でしか知らなかった方々と直接お目に掛かり、話をすることができました。感激でしたし大きな刺激にもなりました」。同会議の告知用として企画・執筆した『編集者列伝』(2016年琉球新報記事にて全12回掲載)は、人気を博した。

また、2019年からは沖縄出版協会主催のアナウンサーによる沖縄本朗読会を企画、県内アナウンサーとの出演交渉から進行までを務めている。他にもイベント講師として、県内だけでなく大阪や東京でのイベントにも出演。とにかく依頼された仕事は、全て引き受けてしまうという頼もしい編集者でもある。その一方で、「仕事の掛け持ちが多く周りに迷惑を掛けることもしばしば」と苦笑する。「依頼された仕事は、全て面白いと感じてしまうんですね。これまでいろいろな出版社や印刷会社に席を置いてきたのですが、いずれも個性があって、それこそいろいろなジャンルの本を編集することができました」と笑顔で語る。

そんな宮城氏も2020年から、週の半分を図書館員として働く道を選んだ。「安定した収入というのもあるんですが、以前から夢だった本に囲まれた仕事をしたいとの思いがありましたね。図書館の仕事は本当に面白いですよ。それでも最近では、編集者としてもっとやるべき事があるのではないかと思い始めています。もしかしたら、図書館とは暫くお別れになるかもしれません」。

これまで多様な仕事をこなしてきた宮城氏、これからどんな本を編集・執筆していくのか、今後の活躍が楽しみでもある。また、沖縄本をより多くの人に紹介してもらうためにも、彼の活動は長く続けてもらいたいと切望する。

取材・執筆 呉屋栄治