出版人列伝
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#14

フリー編集者・「カフェユニゾン」店主
三枝克之さん

そして氏の語る編集における新たな試みが、オーナー兼プロデューサーとして取り組んでいる<CAFE UNIZON>(2005年開業)。またここ数年は台湾と連携した仕事も行うようになった。「台湾には前から行ってみたいと考えていましたが、子どもが留学したことがきっかけで通うようになりました。それによって沖縄を、日本視点での表門側からだけでなく、台湾という裏門側からの視点でも見ることができるようになった気がします。文化的には台湾と沖縄はとても似ている。と同時に、似ているけど異なるところもある。それを糸口に沖縄の文化がどのように成立してきたか、立体的に感じられるようになりました」。目下、この沖縄と台湾の文化を並列的に編集して見せる企画を日本・台湾の共同出版として準備中とのこと。そしてこれより一足先に、この2月に刊行されたばかりなのが、編集者として参画した『台湾客家スケッチブック』(KADOKAWA)。全体の構成とエリア情報、客家料理などのガイドページ、台湾客家文化についてのコラムの執筆などを担当した。同書は日本と台湾同時発売というもの。これもこれまでにはない発刊方法だ。

そのうえで、沖縄出版協会について伺った。「本が売れにくくなっているのは理解できますが、どう生き残るかということだけを考えているような気がします。もっと前向きになって、どうやって売れる作品を生むか、どんな新しい本の売り方の仕組みを作っていくかを考えた方がいいと思います。それを沖縄発で考えていくことが必要な気がします」。少し耳の痛い話である。

「本やCDが売れなくなった時代ですが、それでもやはりモノとして残る作品を作りたいですね。僕の場合は、結果として文字や映像、音が絡んだ総合的なものになるかもしれません。それでいてモノとしての佇まいにもあふれるような、そんな新しい媒体」。クリエイティブに直結する仕事への想いを、淡々とではあるが熱のこもった口調でそう語る三枝氏。どのような世界を魅せてくれるのか、目の離せない編集者であることは間違いない。

取材・文 宮城一春